医療法人 光川会 福岡脳神経外科病院 FUKUOKA NEUROSURGICAL HOSPITAL

脳の病気

【脳卒中】一過性脳虚血発作

TIAほど間違った使い方をされた病名はないと思います。失神のことをTIAと混同して使われることが多いようです。失神の多くは血管迷走神経反射(神経調節性失神)や心原性(急性冠症候群・不整脈など)ですが、例外的に椎骨脳底動脈系の一過性脳虚血発作に失神があります。一般的に失神と一過性脳虚血発作は別のものと考えたほうがよいと思います。
 
どんな病気
TIA(Transient Ischemic Attack) 「一過性虚血発作」の定義
従来、TIAは一時的に脳に血液が流れなくなり、神経脱落症状が現れる発作で、24時間以内に症状が消えるもので、神経脱落症状とは麻痺や言語障害等脳の巣症状のことを指します。

2002年米国TIA作業部会では、局所的な脳・網膜の虚血によって生じる一過性の神経脱落症状で、典型的な症状持続時間は1時間で、急性期脳梗塞の証拠がないものとされました。網膜のTIAは以前から一過性黒内障と呼ばれていましたが、新たに網膜の虚血が定義に加わりました。

2009年の米国心臓協会、脳卒中協会はTIAとは脳・脊髄または網膜の局所的虚血による一時的な神経学的機能障害で急性梗塞を伴わないものと定義しました。(脊髄が加えられ、1時間の持続時間がなくなり、画像診断の進歩で脳梗塞がとらえられ、早い時期に脳梗塞に移行する)
もともと、Transient Ischemic Attackを和訳すると「一過性虚血発作」で「脳」は入りません。したがって、脳に網膜・脊髄が加わることは当然のことと思います。
また、TIAを起こした人の10-15%が3カ月以内に脳梗塞になり、その半数は2日以内に発症しています 。従来考えられていたよりも、はるかに早い時期に脳梗塞を発症することがしばしばあります。
 
TIAが疑われた場合には
2009年・2015年発行の「脳卒中治療ガイドライン」で「TIAが疑われた場合にはただちに予防的治療を開始すること」を推奨しています。
2016年2月米国心臓協会と米国脳卒中協会はTIA患者の1/3~1/2は続発脳梗塞で自宅に帰れない。1700人のTIAのrt-PAデータからTIAにもrt-PA治療を考慮すべきであるとしています。
 
どんな症状
上記のように一過性に脳・網膜・脊髄の虚血が起こるため、一過性に麻痺・言語障害・黒内障が出現します。あくまで一過性ですので、症状は消失します。
 
どんな治療法
脳卒中ガイドライン2015に従がって行います。
TIAと診断すれば、可及的速やかに発症機序を評価し、脳梗塞発症予防のための治療を直ちに開始するよう強く勧められる。TIA後の脳梗塞発症の危険度予測と治療方針の決定にはABCD²スコアをはじめとした予測スコアの使用が勧められる。発症48時間以内でABCD²スコア4点以上、繰り返すTIA、MRI拡散強調画像病変、有意な責任血管病変または心房細動の合併は、速やかな病態評価と治療が必要であるが、十分な科学的根拠がない。
急性期(発症48時間以内)の再発防止には、アスピリン160~300mg/日の投与が強く勧められる)。急性期に限定した抗血小板薬2剤併用療法(アスピリン+クロピドグレル)も勧められる。
 
予後は
TIA後の脳梗塞発症についての危険性の予測には、ABCD2スコアが有用と報告されています。 ABCD2スコアを下記に示します。7点満点で、点数が高いほど脳梗塞の発症リスクが高いことがわかっています。

A:Age(年齢) > 60歳 (1点)
B:Blood pressure(血圧) > 140/90mmHg (1点)
C:Clinical feature(臨床像) > 半身まひ (2点)、麻痺のない言語障害 (1点)
D:Diabetes(糖尿病) (1点)
D:Duration of symptoms(持続時間)(10-59分は1点、60分以上は2点)

3点以上は入院治療が必要とされていますが、全例入院して治療したほうが良いと考えます。

救急隊員・クリニック医師・病院の医師が患者に接したときには症状が消えていることが多く、一見軽症に見えるが本人の訴えを良く聞くことが重要です。

続発脳梗塞になることが多く、私の経験でも、TIAを入院させ治療中に脳梗塞に陥った経験があります。家族から「入院して治療しているのになぜ悪くなったのか」とクレームがくることもありますので、TIAの恐ろしさを十分に説明します。
最初から意識障害・言語障害・麻痺等があれば家族もある程度あきらめもつくが・・・・・。
小児のTIAも要注意!です。もやもや病を考えます。小児にも脳卒中が起こることを念頭に入れましょう。
 
(文責:髙橋 伸明)
TIAほど間違った使い方をされた病名はないと思います。失神のことをTIAと混同して使われることが多いようです。失神の多くは血管迷走神経反射(神経調節性失神)や心原性(急性冠症候群・不整脈など)ですが、例外的に椎骨脳底動脈系の一過性脳虚血発作に失神があります。一般的に失神と一過性脳虚血発作は別のものと考えたほうがよいと思います。
 
どんな病気
TIA(Transient Ischemic Attack) 「一過性虚血発作」の定義
従来、TIAは一時的に脳に血液が流れなくなり、神経脱落症状が現れる発作で、24時間以内に症状が消えるもので、神経脱落症状とは麻痺や言語障害等脳の巣症状のことを指します。

2002年米国TIA作業部会では、局所的な脳・網膜の虚血によって生じる一過性の神経脱落症状で、典型的な症状持続時間は1時間で、急性期脳梗塞の証拠がないものとされました。網膜のTIAは以前から一過性黒内障と呼ばれていましたが、新たに網膜の虚血が定義に加わりました。

2009年の米国心臓協会、脳卒中協会はTIAとは脳・脊髄または網膜の局所的虚血による一時的な神経学的機能障害で急性梗塞を伴わないものと定義しました。(脊髄が加えられ、1時間の持続時間がなくなり、画像診断の進歩で脳梗塞がとらえられ、早い時期に脳梗塞に移行する)
もともと、Transient Ischemic Attackを和訳すると「一過性虚血発作」で「脳」は入りません。したがって、脳に網膜・脊髄が加わることは当然のことと思います。
また、TIAを起こした人の10-15%が3カ月以内に脳梗塞になり、その半数は2日以内に発症しています 。従来考えられていたよりも、はるかに早い時期に脳梗塞を発症することがしばしばあります。
 
TIAが疑われた場合には
2009年・2015年発行の「脳卒中治療ガイドライン」で「TIAが疑われた場合にはただちに予防的治療を開始すること」を推奨しています。
2016年2月米国心臓協会と米国脳卒中協会はTIA患者の1/3~1/2は続発脳梗塞で自宅に帰れない。1700人のTIAのrt-PAデータからTIAにもrt-PA治療を考慮すべきであるとしています。
 
どんな症状
上記のように一過性に脳・網膜・脊髄の虚血が起こるため、一過性に麻痺・言語障害・黒内障が出現します。あくまで一過性ですので、症状は消失します。
 
どんな治療法
脳卒中ガイドライン2015に従がって行います。
TIAと診断すれば、可及的速やかに発症機序を評価し、脳梗塞発症予防のための治療を直ちに開始するよう強く勧められる。TIA後の脳梗塞発症の危険度予測と治療方針の決定にはABCD²スコアをはじめとした予測スコアの使用が勧められる。発症48時間以内でABCD²スコア4点以上、繰り返すTIA、MRI拡散強調画像病変、有意な責任血管病変または心房細動の合併は、速やかな病態評価と治療が必要であるが、十分な科学的根拠がない。
急性期(発症48時間以内)の再発防止には、アスピリン160~300mg/日の投与が強く勧められる)。急性期に限定した抗血小板薬2剤併用療法(アスピリン+クロピドグレル)も勧められる。
 
予後は
TIA後の脳梗塞発症についての危険性の予測には、ABCD2スコアが有用と報告されています。 ABCD2スコアを下記に示します。7点満点で、点数が高いほど脳梗塞の発症リスクが高いことがわかっています。

A:Age(年齢) > 60歳 (1点)
B:Blood pressure(血圧) > 140/90mmHg (1点)
C:Clinical feature(臨床像) > 半身まひ (2点)、麻痺のない言語障害 (1点)
D:Diabetes(糖尿病) (1点)
D:Duration of symptoms(持続時間)(10-59分は1点、60分以上は2点)

3点以上は入院治療が必要とされていますが、全例入院して治療したほうが良いと考えます。

救急隊員・クリニック医師・病院の医師が患者に接したときには症状が消えていることが多く、一見軽症に見えるが本人の訴えを良く聞くことが重要です。

続発脳梗塞になることが多く、私の経験でも、TIAを入院させ治療中に脳梗塞に陥った経験があります。家族から「入院して治療しているのになぜ悪くなったのか」とクレームがくることもありますので、TIAの恐ろしさを十分に説明します。
最初から意識障害・言語障害・麻痺等があれば家族もある程度あきらめもつくが・・・・・。
小児のTIAも要注意!です。もやもや病を考えます。小児にも脳卒中が起こることを念頭に入れましょう。
 
(文責:髙橋 伸明)
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