医療法人 光川会 福岡脳神経外科病院 FUKUOKA NEUROSURGICAL HOSPITAL

脳の病気

【頭部・頸部外傷】 こどもの頭部外傷

こどもは怪我をしながら育つものですが、いざ自分のこどもが頭を打撲すると特に乳幼児の場合両親は心配でたまりません。
 
どんな病気
乳幼児は遊具・椅子・ベビーベッドやベビーバスケットから墜落事故が多いです。親は責任を感じ、病院受診を希望することがほとんどです。しかし、すべての患者にCT検査をするわけではありません。親はパニック状態になっていることが多く、こどもの診察とともに親の精神的安定を図る必要があります。

乳幼児は大人と違って身体に較べて頭が大きい(新生児では4頭身)。したがって、重心が上にありバランスが悪く転びやすいので頭部を打撲することが良くあります。
 
どんな症状
まず、どのような状態でどの程度の強さで頭を打ったかを知る必要があります。症状は衝撃の程度で異なります。こどもは頭を打つとよく吐きますが、頭蓋内に異常が起こっているとは限りません。自家中毒といってストレスだけで嘔吐を繰り返すことはよくあることです。

普段と違うと感じたときはやはり病院を受診したほうがよいでしょう。具体的にはボーとしている・何回も嘔吐する・顔色が悪い・痙攣を起こしたときなどです。

最近、こどもの虐待が増えています。「ゆさぶられ症候群」と言って、概ね生後6か月以内の新生児や乳児の体を、過度に揺することで発生する急性硬膜下血腫や外傷性くも膜下出血をきたします。身体には打撲痕がありませんので、虐待を見逃すことがありますので要注意です。
 
どんな検査
CT検査が基本ですが、放射線の検査ですので被曝は避けられません。具体的に言いますと、1回のCT検査で約2ミリシーベルト被爆します。われわれ宇宙線等自然界から年間2.1ミリシ-ベルト被爆していますので、1年分近く被爆するということです。米国放射線学会誌(2001年)によりますとCT検査を受けた1200人に1人将来被爆によりガンになる可能性があるとのことです。したがって、CT検査はしないに越したことはありませんが、検査をしないと両親や学校の先生の不安を取り除くことは出来ません。

ちなみに、われわれ医療従事者を含め放射線業務従事者は、電離放射線障害防止規則で1年間50ミリシーベルト・5年間で100ミリシーベルト以上になると就業できなくなります。
 
諸外国のCT検査をする基準
CT検査をする基準は日本にはありませんが、諸外国には基準が存在しますので紹介します。NICE clinical guideline(英国)とカナダ頭部CTルールを紹介します。
 
NICE clinical guideline(National Institute for Health and Clinical Excellence)
①5分以上の意識消失、
②5分以上の健忘、
③傾眠傾向、
④連続しない3回以上の嘔吐、
⑤虐待の疑い、
⑥外傷後の痙攣 、
⑦GCS14未満、1歳未満はGCS15未満、
⑧開放骨折・陥没骨折の疑い、大泉門膨隆、
⑨頭蓋底骨折の疑い、
⑩神経学的所見あり、
⑪1歳以下で、東部に5cm以上の打撲痕、腫脹、挫創、
⑫危険な外傷機転:高エネルギー外傷、3m以上の転落
 
カナダ頭部CTルール
軽症頭部外傷患者において、以下の一つでも認めた場合のみCTが必要である。グラスゴーコーマスケールが13−15点の患者で、意識消失が目撃され、記憶喪失や意識混濁があった場合にのみこの基準を適応する。
脳外科的介入が必要な高リスク患者
①外傷後2時間経ってもグラスゴーコーマスケールが15未満、
②頭蓋骨の開放、または陥没骨折が疑われる、
③頭蓋底骨折の所見がある、
④2回以上の嘔吐、
⑤65歳以上でCTにより指摘できる脳損傷の危険がある中等度患者
⑥受傷30分以上前の記憶が消失している、
⑦危険な受傷機転
 
2歳以下の小児頭部外傷の特徴(米国小児学会誌1999年)
年少児ほど頭蓋内病変(ICI)の頻度が高い
全体    :30/608例(5%)
0-2ヶ月    :12/92例 (13%)
3-11ヶ月    :13/224例(6%)
12ヶ月以上    :5/292例 (2%)
半数は無症状
52%のみが意識消失/機嫌の変化/嘔吐/意識低下/大泉門の膨隆/巣症状/バイタルサインの変化を呈した
無症状でICIを呈した患児のうち、93%は大きな皮下血腫を有していた
 
どんな治療
ぶよぶよとした血腫の場合
大人のたんこぶは硬いですが(皮内皮下血腫)、幼少児ではぶよぶよとした血腫(帽状腱膜下血腫)になりやすいです。時には頭全体がぶよぶよになり貧血をきたすことがありますが、穿刺して血を抜くことは決してありません。血を抜けば抜くだけ溜まり、貧血を助長します。我慢して待ってください。ある日突然、驚くほど急速に血腫は吸収されます。
 
頭蓋骨骨折の場合
頭蓋骨骨折は1年くらいで自然治癒することがほとんどですが、ごくまれに骨折線が拡大することがありますので注意が必要です(拡大性頭蓋骨骨折)。頭蓋骨骨折が硬膜動脈を傷つけ硬膜外血腫ができ、血腫量により手術が必要になることがあります。
 
陥没骨折の場合
こどもの頭蓋骨は軟らかいので陥没骨折になりやすく、脳を圧迫するようであれば、てんかんの原因や脳の発育障害になりますので整復手術を要することもあります。
 
急性硬膜下血腫の場合
急性硬膜下血腫もほとんどは薄く、自然治癒を待つことがほとんどです。手術適応は大人の硬膜下血腫と変わりません。




(文責:髙橋 伸明)
こどもは怪我をしながら育つものですが、いざ自分のこどもが頭を打撲すると特に乳幼児の場合両親は心配でたまりません。
 
どんな病気
乳幼児は遊具・椅子・ベビーベッドやベビーバスケットから墜落事故が多いです。親は責任を感じ、病院受診を希望することがほとんどです。しかし、すべての患者にCT検査をするわけではありません。親はパニック状態になっていることが多く、こどもの診察とともに親の精神的安定を図る必要があります。

乳幼児は大人と違って身体に較べて頭が大きい(新生児では4頭身)。したがって、重心が上にありバランスが悪く転びやすいので頭部を打撲することが良くあります。
 
どんな症状
まず、どのような状態でどの程度の強さで頭を打ったかを知る必要があります。症状は衝撃の程度で異なります。こどもは頭を打つとよく吐きますが、頭蓋内に異常が起こっているとは限りません。自家中毒といってストレスだけで嘔吐を繰り返すことはよくあることです。

普段と違うと感じたときはやはり病院を受診したほうがよいでしょう。具体的にはボーとしている・何回も嘔吐する・顔色が悪い・痙攣を起こしたときなどです。

最近、こどもの虐待が増えています。「ゆさぶられ症候群」と言って、概ね生後6か月以内の新生児や乳児の体を、過度に揺することで発生する急性硬膜下血腫や外傷性くも膜下出血をきたします。身体には打撲痕がありませんので、虐待を見逃すことがありますので要注意です。
 
どんな検査
CT検査が基本ですが、放射線の検査ですので被曝は避けられません。具体的に言いますと、1回のCT検査で約2ミリシーベルト被爆します。われわれ宇宙線等自然界から年間2.1ミリシ-ベルト被爆していますので、1年分近く被爆するということです。米国放射線学会誌(2001年)によりますとCT検査を受けた1200人に1人将来被爆によりガンになる可能性があるとのことです。したがって、CT検査はしないに越したことはありませんが、検査をしないと両親や学校の先生の不安を取り除くことは出来ません。

ちなみに、われわれ医療従事者を含め放射線業務従事者は、電離放射線障害防止規則で1年間50ミリシーベルト・5年間で100ミリシーベルト以上になると就業できなくなります。
 
諸外国のCT検査をする基準
CT検査をする基準は日本にはありませんが、諸外国には基準が存在しますので紹介します。NICE clinical guideline(英国)とカナダ頭部CTルールを紹介します。
 
NICE clinical guideline(National Institute for Health and Clinical Excellence)
①5分以上の意識消失、
②5分以上の健忘、
③傾眠傾向、
④連続しない3回以上の嘔吐、
⑤虐待の疑い、
⑥外傷後の痙攣 、
⑦GCS14未満、1歳未満はGCS15未満、
⑧開放骨折・陥没骨折の疑い、大泉門膨隆、
⑨頭蓋底骨折の疑い、
⑩神経学的所見あり、
⑪1歳以下で、東部に5cm以上の打撲痕、腫脹、挫創、
⑫危険な外傷機転:高エネルギー外傷、3m以上の転落
 
カナダ頭部CTルール
軽症頭部外傷患者において、以下の一つでも認めた場合のみCTが必要である。グラスゴーコーマスケールが13−15点の患者で、意識消失が目撃され、記憶喪失や意識混濁があった場合にのみこの基準を適応する。
脳外科的介入が必要な高リスク患者
①外傷後2時間経ってもグラスゴーコーマスケールが15未満、
②頭蓋骨の開放、または陥没骨折が疑われる、
③頭蓋底骨折の所見がある、
④2回以上の嘔吐、
⑤65歳以上でCTにより指摘できる脳損傷の危険がある中等度患者
⑥受傷30分以上前の記憶が消失している、
⑦危険な受傷機転
 
2歳以下の小児頭部外傷の特徴(米国小児学会誌1999年)
年少児ほど頭蓋内病変(ICI)の頻度が高い
全体    :30/608例(5%)
0-2ヶ月    :12/92例 (13%)
3-11ヶ月    :13/224例(6%)
12ヶ月以上    :5/292例 (2%)
半数は無症状
52%のみが意識消失/機嫌の変化/嘔吐/意識低下/大泉門の膨隆/巣症状/バイタルサインの変化を呈した
無症状でICIを呈した患児のうち、93%は大きな皮下血腫を有していた
 
どんな治療
ぶよぶよとした血腫の場合
大人のたんこぶは硬いですが(皮内皮下血腫)、幼少児ではぶよぶよとした血腫(帽状腱膜下血腫)になりやすいです。時には頭全体がぶよぶよになり貧血をきたすことがありますが、穿刺して血を抜くことは決してありません。血を抜けば抜くだけ溜まり、貧血を助長します。我慢して待ってください。ある日突然、驚くほど急速に血腫は吸収されます。
 
頭蓋骨骨折の場合
頭蓋骨骨折は1年くらいで自然治癒することがほとんどですが、ごくまれに骨折線が拡大することがありますので注意が必要です(拡大性頭蓋骨骨折)。頭蓋骨骨折が硬膜動脈を傷つけ硬膜外血腫ができ、血腫量により手術が必要になることがあります。
 
陥没骨折の場合
こどもの頭蓋骨は軟らかいので陥没骨折になりやすく、脳を圧迫するようであれば、てんかんの原因や脳の発育障害になりますので整復手術を要することもあります。
 
急性硬膜下血腫の場合
急性硬膜下血腫もほとんどは薄く、自然治癒を待つことがほとんどです。手術適応は大人の硬膜下血腫と変わりません。




(文責:髙橋 伸明)
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日祝・年末年始除く

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(急性期)リハビリテーション科
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