医療法人 光川会 福岡脳神経外科病院 FUKUOKA NEUROSURGICAL HOSPITAL

脳の病気

【その他の疾患】てんかん

「てんかん」は病名であり、「痙攣」は現象を指す言葉です。しかし、てんかん発作の多くに臨床症状として痙攣が見られるので、同一の言葉として使われることが多いでしょう。一般的な言葉として「ひきつけ」もあります。
 
どんな病気
てんかんについて、世界保健機関(WHO:World Health Organization)では以下のように定義しています。「種々の病因によって起こる慢性の脳障害で、大脳の神経細胞の過剰な発射の結果起こる反復性発作(てんかん発作)を主徴とし、これに種々の臨床症状および検査所見を伴うもの」。
つまり、神経細胞が異常に興奮し、それが広がって痙攣をはじめとするさまざまな神経症状を引き起こします。神経症状には、痙攣の他にも脱力・異常感覚・記憶障害・意識消失などがあります。

乳児の熱性けいれん・アルコールや薬物の禁断症状としての痙攣・脱水などの体液のアンバランスによる痙攣はてんかん発作とは言いません。
 
分類と患者数
てんかんの分類は1981年の国際分類があり、2010年改定案分類が出されましたがほとんど変わっていません。脳の局所から生じる部分発作(単純部分発作・複雑部分発作)と最初から大脳半球を巻き込み起こる全般発作(欠神発作・ミオクロニー発作・間代性発作・強直性発作・強直性間代性発作・脱力発作)に分かれます。単純発作は意識障害がなく、複雑発作は意識障害があります。各発作型についての詳細は割愛いたします。

また、病因的分類で、真正てんかん(脳に器質的異常がない)と症候性てんかん(脳に器質的異常がある:脳腫瘍・脳動静脈奇形・脳挫傷等)に分かれますが、本篇では真正てんかんにつき記載します。

てんかんの患者は日本で100万人程度いると言われています。人口1000人に4~9人と言われ、100~200人に1人が罹患しています。最近、てんかん患者が薬を飲まないで交通事故を起こし、社会問題になっています。
 
どんな症状
てんかん発作は術前・術後問わず、脳疾患によくみられる症状です。意識消失(失神)・硬直性痙攣・間代性痙攣・ジャクソン発作・一点を凝視する・口をもぐもぐする・デジャビュー(既視感)・ミオクローヌス・乳児の点頭てんかん等さまざまな症状があります。
 
脳に機能障害が残る場合も
重度の場合は、てんかん発作後に脳の機能障害として麻痺や言語障害を残すことがあり、「トッドの麻痺」と呼ばれます。
てんかんのコントロール不良例は、「難治性てんかん」と言います。
てんかん発作が15分以上続くものを「てんかん重積状態」と言います。麻酔薬のバルビタールやプロポフォールを用いて、脳の電気活動を静止させなくてはなりません。

てんかん発作が慢性化すると脳の機能が障害されます。特に、小児では脳の発達障害を引き起こします。
 
てんかんの誘因
てんかんの誘因として、光刺激・睡眠不足・過度の疲労・過度の飲酒・環境の変化・過呼吸などが挙げられます。特に、1997年「ポケットモンスター」のアニメーション放送中に多くの学童が発作を起こし、社会問題に発展しました。パチンコ中に発作を起こし、救急車で運ばれることもよくあります。これらは光が誘因となったてんかん発作です。
 
どんな診断と検査
てんかんの診断で先ず必要な検査は脳波検査です。脳の細胞の異常な電気的発射をとらえるのに脳波検査は最適ですが、てんかん患者でも脳波に異常を認めるのは約半数であるため、てんかんの診断には臨床症状が決め手となります。症状との対比を見るために、ビデオ脳波検査をすることもあります。
CT・MRI・MRA検査は症候性てんかんの診断に有用です。

てんかんの薬物治療は長期にわたりますので、定期的な血液検査により薬の副作用や薬の血中濃度を調べます。


 
どんな治療
薬物治療がほとんど
薬物治療と外科治療がありますが、ほとんど薬物治療を行います。代表的な薬物は抗痙攣剤(フェニトイン・フェノバール・クロナゼパム・カルバマゼピン・クロナゼパム・ゾニサミド・ガバペンチン・トピラマート・ラモトリギン・レベチラセタム等)です。発作型により薬を選択します。
 
緊急時の治療
緊急時の薬物治療薬には、ジアゼパム・アレビアチン・ホストイン・バルビタール・プロポフォール・レベチラセタム・ミダフレッサ等注射薬を使用します。
 
外科的治療について
てんかんは正確な診断を行い、適切な薬物治療を行えば70%は寛解できます。残りの30%が難治性ですが、精査の上外科的治療が適応となれば外科的に焦点切除術、脳梁離断術、半球離断術、軟膜下皮質多切術や、切除術も離断術も困難な症例には迷走神経刺激療法や脳深部刺激術、ガンマナイフ療法などの比較的非侵襲的な治療法も開発されています。また、遺伝性てんかんにおける遺伝子診断の進歩や、免疫介在性てんかんにおけるAMPA型グルタミン酸受容体やNMDA型グルタミン酸受容体に対する抗体の関与の解明がすすんでおり、てんかん発作自体の病態解明が分子生物学的にも明らかになりつつあります。今後さらに優れた薬剤や治療法の開発が期待されます。
 
副作用について
薬物治療の副作用として眠気・ふらつき・肝機能障害等はよくありますが、女性では妊娠が問題になります。通常、奇形出生率は5%程度のですが、抗痙攣剤を服用している場合は10%前後という統計があります。口唇裂・口蓋裂・心奇形・二分脊椎などが多いと言われています。

抗てんかん薬の重篤な副作用に、皮膚粘膜眼症候群(スティーブン・ジョンソン症候群)があります。これは多形紅斑様皮疹の多発と口唇・外陰部・眼瞼などの粘膜部にびらん・痂疲などをきたします。しばしば、高熱・全身倦怠感・関節痛などを伴い全身状態が強く侵されます。予後不良の場合も少なくありません。さらに重篤な副作用は中毒性表皮壊死症(TEN)と呼ばれます。
 
(文責:髙橋 伸明)
「てんかん」は病名であり、「痙攣」は現象を指す言葉です。しかし、てんかん発作の多くに臨床症状として痙攣が見られるので、同一の言葉として使われることが多いでしょう。一般的な言葉として「ひきつけ」もあります。
 
どんな病気
てんかんについて、世界保健機関(WHO:World Health Organization)では以下のように定義しています。「種々の病因によって起こる慢性の脳障害で、大脳の神経細胞の過剰な発射の結果起こる反復性発作(てんかん発作)を主徴とし、これに種々の臨床症状および検査所見を伴うもの」。
つまり、神経細胞が異常に興奮し、それが広がって痙攣をはじめとするさまざまな神経症状を引き起こします。神経症状には、痙攣の他にも脱力・異常感覚・記憶障害・意識消失などがあります。

乳児の熱性けいれん・アルコールや薬物の禁断症状としての痙攣・脱水などの体液のアンバランスによる痙攣はてんかん発作とは言いません。
 
分類と患者数
てんかんの分類は1981年の国際分類があり、2010年改定案分類が出されましたがほとんど変わっていません。脳の局所から生じる部分発作(単純部分発作・複雑部分発作)と最初から大脳半球を巻き込み起こる全般発作(欠神発作・ミオクロニー発作・間代性発作・強直性発作・強直性間代性発作・脱力発作)に分かれます。単純発作は意識障害がなく、複雑発作は意識障害があります。各発作型についての詳細は割愛いたします。

また、病因的分類で、真正てんかん(脳に器質的異常がない)と症候性てんかん(脳に器質的異常がある:脳腫瘍・脳動静脈奇形・脳挫傷等)に分かれますが、本篇では真正てんかんにつき記載します。

てんかんの患者は日本で100万人程度いると言われています。人口1000人に4~9人と言われ、100~200人に1人が罹患しています。最近、てんかん患者が薬を飲まないで交通事故を起こし、社会問題になっています。
 
どんな症状
てんかん発作は術前・術後問わず、脳疾患によくみられる症状です。意識消失(失神)・硬直性痙攣・間代性痙攣・ジャクソン発作・一点を凝視する・口をもぐもぐする・デジャビュー(既視感)・ミオクローヌス・乳児の点頭てんかん等さまざまな症状があります。
 
脳に機能障害が残る場合も
重度の場合は、てんかん発作後に脳の機能障害として麻痺や言語障害を残すことがあり、「トッドの麻痺」と呼ばれます。
てんかんのコントロール不良例は、「難治性てんかん」と言います。
てんかん発作が15分以上続くものを「てんかん重積状態」と言います。麻酔薬のバルビタールやプロポフォールを用いて、脳の電気活動を静止させなくてはなりません。

てんかん発作が慢性化すると脳の機能が障害されます。特に、小児では脳の発達障害を引き起こします。
 
てんかんの誘因
てんかんの誘因として、光刺激・睡眠不足・過度の疲労・過度の飲酒・環境の変化・過呼吸などが挙げられます。特に、1997年「ポケットモンスター」のアニメーション放送中に多くの学童が発作を起こし、社会問題に発展しました。パチンコ中に発作を起こし、救急車で運ばれることもよくあります。これらは光が誘因となったてんかん発作です。
 
どんな診断と検査
てんかんの診断で先ず必要な検査は脳波検査です。脳の細胞の異常な電気的発射をとらえるのに脳波検査は最適ですが、てんかん患者でも脳波に異常を認めるのは約半数であるため、てんかんの診断には臨床症状が決め手となります。症状との対比を見るために、ビデオ脳波検査をすることもあります。
CT・MRI・MRA検査は症候性てんかんの診断に有用です。

てんかんの薬物治療は長期にわたりますので、定期的な血液検査により薬の副作用や薬の血中濃度を調べます。


 
どんな治療
薬物治療がほとんど
薬物治療と外科治療がありますが、ほとんど薬物治療を行います。代表的な薬物は抗痙攣剤(フェニトイン・フェノバール・クロナゼパム・カルバマゼピン・クロナゼパム・ゾニサミド・ガバペンチン・トピラマート・ラモトリギン・レベチラセタム等)です。発作型により薬を選択します。
 
緊急時の治療
緊急時の薬物治療薬には、ジアゼパム・アレビアチン・ホストイン・バルビタール・プロポフォール・レベチラセタム・ミダフレッサ等注射薬を使用します。
 
外科的治療について
てんかんは正確な診断を行い、適切な薬物治療を行えば70%は寛解できます。残りの30%が難治性ですが、精査の上外科的治療が適応となれば外科的に焦点切除術、脳梁離断術、半球離断術、軟膜下皮質多切術や、切除術も離断術も困難な症例には迷走神経刺激療法や脳深部刺激術、ガンマナイフ療法などの比較的非侵襲的な治療法も開発されています。また、遺伝性てんかんにおける遺伝子診断の進歩や、免疫介在性てんかんにおけるAMPA型グルタミン酸受容体やNMDA型グルタミン酸受容体に対する抗体の関与の解明がすすんでおり、てんかん発作自体の病態解明が分子生物学的にも明らかになりつつあります。今後さらに優れた薬剤や治療法の開発が期待されます。
 
副作用について
薬物治療の副作用として眠気・ふらつき・肝機能障害等はよくありますが、女性では妊娠が問題になります。通常、奇形出生率は5%程度のですが、抗痙攣剤を服用している場合は10%前後という統計があります。口唇裂・口蓋裂・心奇形・二分脊椎などが多いと言われています。

抗てんかん薬の重篤な副作用に、皮膚粘膜眼症候群(スティーブン・ジョンソン症候群)があります。これは多形紅斑様皮疹の多発と口唇・外陰部・眼瞼などの粘膜部にびらん・痂疲などをきたします。しばしば、高熱・全身倦怠感・関節痛などを伴い全身状態が強く侵されます。予後不良の場合も少なくありません。さらに重篤な副作用は中毒性表皮壊死症(TEN)と呼ばれます。
 
(文責:髙橋 伸明)
診療・面会時間について
診療時間9:00~12:30

(受付8:30~12:00)
日祝・年末年始除く

診療科目
脳神経外科、脳卒中内科、神経内科、
(急性期)リハビリテーション科
お問合せはお電話で
代表092-558-0081