未破裂脳動脈瘤の最新治療
フローダイバーター治療は、未破裂脳動脈瘤に対する最新の血管内治療です。
太ももの付け根から動脈内にマイクロカテーテル(チューブ)を挿入し、大動脈を経由して脳内に到達させて手術をおこないます。動脈瘤のネック(入り口)を覆うように、内頸動脈にフローダイバーターというメッシュ状の細かい特殊なステントを展開し留置します。すると動脈瘤の血液の流れが減少して瘤内で停滞し、徐々に血栓化し動脈瘤が閉塞していきます。やがて吸収されて消失し、治癒します。
フローダイバーター治療により、これまでのように大掛かりな開頭手術をせずに血管内治療で治せる動脈瘤が増えています。血管内治療としても動脈瘤内にマイクロカテーテルやコイルを挿入する必要がないので、破裂を誘発する危険性も下がります。
動脈瘤の大きさや部位に使用制限はありますが、フローダイバーター治療は大型の脳動脈瘤の治療に適しています。外科的手術やコイル塞栓術での治療が困難な最大瘤径が5mm以上、かつワイドネック型(ネック長が4mm以上、もしくはドーム/ネック比が2未満)の頭蓋内動脈瘤に対して行います。
フローダイバーター治療は、血管分岐部に大型のコブがある症例や破裂動脈瘤には向いていません。その場合は従来のコイル塞栓術やステント併用コイル塞栓術を行います。さらに今後は「Woven EndoBridgeデバイス(WEB)」での治療も可能になります。
治療後はステント併用のコイル塞栓術と同様に抗血小板剤を服用しますが、当院では治療後1年で服用を中止しています。フローダイバーター治療は、カテーテルやステント留置時のテクニックも大切ですが薬剤管理もとても重要です。
まだ数少ない治療可能な施設フローダイバーター治療は、術者が限定されていて治療可能な施設は多くありません。当院では、2021年は未破裂脳動脈瘤に対するフローダイバーター治療を99件実施。開院からの6年間で360件を超える実績があります。
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