最近すっかり定着したこの「ハイブリッド」のカタカナ、意味をご存知でしょうか。
一般的には車に使います。例えば「ハイブリッドカー」、何だかとても技術の進んだ感じですね。ハイブリッド（hybrid）の意味は「異なった要素を混ぜ合わせたもの」または「雑種」で、雑種とは何かイメージ悪いですね。もともと、種の品質が異なる植物や動物から生まれた子孫と言う意味です。ハイブリッドカーは「ガソリン」と「電気」を原動力として走る車と言う意味です。まさに雑種ですね。今や車の主力商品となっています。

医療界では、「ハイブリッド手術室」がステイタスとなりつつあります。ハイブリッド手術室とは、手術台に血管X線装置を組み合わせた手術室のことです。従来の手術室に血管カテーテル室を組み合わせることにより、最先端の技術と科学の融合で最新の医療技術に対応します。脳神経外科領域におきましては、開頭手術と血管内手術を同時にあるいは単独に、また安全に迅速にすることができます。

脳神経外科における血管内手術には、脳動脈瘤塞栓術・脳動静脈奇形栄養動脈塞栓術・脳腫瘍栄養動脈塞栓術や脳梗塞に対するバルーン血管拡張術・ステント留置術・血栓回収療法などがあります。開頭手術のみでは到達困難な部位にカテーテルで容易にアプローチできることもありますし、カテーテルのみでは治療困難な病変も開頭手術を組み合わせて安全に治療を行うことも可能です。
例えば、脳動脈瘤頸部の幅が広くて、血管内手術で塞栓術を行うとコイルが逸脱することがありますので、開頭手術を同時に行いコイルが逸脱しないように脳動脈瘤頸部を小さくすることも可能です。巨大脳動脈瘤に対しても、バイパス手術と血管内塞栓術を組み合わせることも可能です。また、脳腫瘍や脳動静脈奇形の開頭手術時に血管内手術で栄養動脈を塞栓することにより、出血を減らし手術を安全・確実にすることが可能になります。

福岡脳神経外科病院では、3室の手術室の内2室のハイブリッド手術室を有し、24時間・365日同時並行で脳卒中の高度治療を行える体制をとっています。